ある秋の日のこと、
平成元年あたりの宮崎の高校生たちは他校の体育祭をひやかしに行き、
そこでカップジュースの自動販売機を見つけた。
困惑する高校生が指さしたボタンには
【ファンタ キャラメル】
と書いてあった。
ファンタ キャラメルのこと
ファンタ キャラメル…
この、異様なオーラを放つ商品名を見て
高校生たちは慄いた。
2020年の日本ならまだ分かる。
『一見ミスマッチに思えるけど美味しい!』という商品、
たとえば、塩スイーツやチョコ掛けポテチ等も
既に市民権を得ているのだから。
しかし、平成元年あたりの宮崎でのソレは、
あまりにもミスマッチで
販売するのが無謀としか思えない商品…
自販機のボタンには上記みたいなイラストが描かれていた(キャラメルではなくカラメルだったという説もあり)
2本のストライプは、クリームがかった茶色とキャラメル色…コーヒーかミルクティ?と思うような色合いだ。
そして平成元年あたりにリニューアルされたファンタパッケージの象徴『何かの実』が、茶色というあり得ない色をしているのも
衝撃的であった。
買うヒトおるとやコレ!?
そんな友人たちの忠告をよそ目にボタンを押した高校生のカップには、
なみなみとジュースが注がれていった。
自販機から取り出したソレは、コーラのような茶色のシュワシュワ
そのシュワシュワは、
甘いバターとバニラが混ざったような香りがした。
そう言いながら、ひとくち ゴクリ。
問いかけに応えながら、
高校生はファンタキャラメルのカップを友人に差し出した。
…高校生たちはこのあと、
体育祭の観戦そっちのけで、ファンタキャラメルの押し付け合いを延々と繰り広げたのであった。
ちなみに、気になる味の感想だが、
あれ、奇跡やっちゃなって思った…
とのことである。
ファンタ ~素晴らしき想像力~
ファンタ…
様々なフレーバーが楽しいこのジュースは、
平成元年あたりの宮崎の高校生たちは勿論のこと、
どの世代の方にとっても、あまりにも馴染み深いジュースだと思います。
そんなファンタの名前の由来、ご存じでしょうか?
コカ・コーラ公式サイトによると、こういう経緯があったようなんですよ。
Q. ファンタの名前の由来は何ですか?
A.キース氏はエッセンの工場の従業員にこの新製品の名前の提案を持ちかけました。すると、皆が「ファンタスティック」(素晴らしい)、「ファンタジヴォル」(想像力に富んでいる)などと提案してきたため、それらの言葉を短くした「ファンタ」が良いだろう、ということになったのです。
引用元:日本コカ・コーラ株式会社公式ドイツ生まれ–ファンタ誕生までの驚くべきストーリー
『素晴らしい』と『想像力』どちらも素敵な言葉だなぁ(^^)
特に、これまで数多のフレーバーが誕生したファンタには『想像力に富んでいる』という表現がぴったりだなと思います。
なんせ、これまで発売されたファンタのフレーバーは、公式サイトの情報によると100以上!
想像力に富んでいないと成し得ない数です…凄い!!!
さて、いま『公式サイトによると100以上』と書きました。
実はファンタの豊富な想像力は、
公式さえ掴みきれないほどのパワフルさなんですよ…
ファンタゴールデンシリーズというロマン
ファンタというと何を思い浮かべますか?
定番のオレンジやグレープ、
その他にも、皆さんいろんなフレーバーを思い浮かべるかと思いますが、
ファンタゴールデングレープとファンタゴールデンアップルを
思い浮かべる方も少なくないかと思います。
…さて、
唐突ですが、
当サイト運営陣のひとりが2008年に書いていたブログの写真をご覧いただこうと思います。
12年前の日記…写真は3回シリーズの第1回の内容です。
ウ〇コはやめなさいウ〇コはw
以上、
ご覧のとおり、2008年には既に伝説のようになっていた
『ファンタゴールデンアップル論争』
ミレニアムフィーバー真っ只中の2000年前後に、
このネタが某巨大掲示板をはじめ、ネットでかなり盛り上がったのをご存じの方も多いかと思います。
肯定派、否定派どちらの意見も興味深く、見ていて楽しい論争でした(^^)
この論争がもとで、2002年には本当にゴールデンアップルが発売されたんですよね。
そんなこんなで、
とても有名なファンタゴールデンアップル&ゴールデングレープなのですが、
このゴールデンシリーズについて、
平成元年あたりの宮崎の高校生のひとりが、まさかの新たな一石を投じてきたのです…!
こん前、ロッテリアのネバーエンディングストーリー2のスクラッチカードキャンペーンのときに、サンパチトリオでリブサンドと一緒に頼んだもん!
説明が細かすぎるっw
まぁ、ここまでしっかり説明してくるところをみると、どうやらただのウソや冗談ではなさそうだなぁ…
勘違いの可能性はありますが、それにしたって普通のファンタをゴールデンシリーズと勘違いする可能性は低いかと思います。
ですが、
そうなると、やはり説明のつかないことが出てくるのです。
だってこの時期って、
ゴールデンパイナップルもゴールデングレープも、当然ゴールデンアップルも、
どれもこれも公式情報をみるかぎり、販売されてないはずなんですよ…
更に申し上げますと、
上記で高校生たちが、買って押し付け合ったファンタキャラメル
これについては、その後、
どんなに探しても二度と見つけることは出来なかったし、
この高校生たちと運営以外は、同行していた友人たちですら記憶にないと言い出す始末…
後年、この宙ぶらりんな記憶がどうにも気になった運営は、
公式発表をはじめ、ネットや関連本で様々な情報を調べましたが、
どんなに探しても、販売記録を見つけることは出来ませんでした。
あんなインパクトあるファンタ、他のモンに勘違いするわけないがね!ファンタキャラメルはファンタキャラメルやじ。他の何ものでもないかいねっ
こういう、
『公式に販売記録がない』とか
『飲んだはずの時代には発売されてなかった』とか、
公式のデータとは食い違ってるけど飲んだよ!って証言があるフレーバーの話、
実は他にもあるんだよ…
飲んだはずなのに無い!?不思議なフレーバー達の共通点
さて2000年前半の某巨大掲示板の【ファンタゴールデンアップルの謎を追え】という趣旨のスレッドには、ファンタバナナを飲んだという書き込みが複数あったのを覚えています。
(今回、この記事を書くにあたって過去ログを探したのですが、古すぎるからなのか見つけることは出来ませんでしたが…orz)
ファンタのバナナフレーバーは、
2006年にホワイトバナーナという商品が発売されましたが、
『飲んだ』という書き込みより後に発売された商品なので、
話が合致しません。
フレーバー名をはっきり覚えているのはバナナだけなのですが、
他にも「近所に売ってたからしょっちゅう飲んでた!」という趣旨で、
複数の謎フレーバーの名前が挙がっていたように思います。
そして、上記スレッドの後半で、
これら『公式発表はされていないけど飲んだという証言があるフレーバー』には、全てではないものの、多くのケースで1つの共通点があることが見えてきたんですよね…
それは、カップジュースであるという点。
先述のファンタキャラメルやゴールデンパイナップルもそうですが、
飲んだはずなのに資料が残ってない。
ビン・缶・王冠・ペットボトルの現物どころか写真一枚すら出てこない。
だけど飲んだという証言は、いくつも出てくる…
この怪現象も、
それらを、カップジュース自販機やファーストフード店で提供されるカップジュースで飲んだとなると納得できます。
ですが、なぜ公式発表されていないはずのフレーバーをカップジュースで飲んだと証言される方の率が高いのか。
これは、コカ・コーラ社の【コカ・コーラシステム】が関係している可能性があるのではないかと考えることが出来ます。
■コカ・コーラシステムとは
日本のコカ・コーラシステムは、清涼飲料(原液)の製造販売を担う日本コカ・コーラ株式会社と、製品の製造・販売を行うボトラー社などで構成されています。
引用元:日本コカ・コーラ株式会社公式コカ・コーラシステムについて
まず、アメリカにある本社【ザ・コカ・コーラカンパニー】の日本法人である【日本コカ・コーラ株式会社】が、コーラやコカ・コーラ社製品の原液を作ります。
そして、日本コカ・コーラから供給された原液を使って、ボトラー社(2020年現在は全国で5社)が、皆さんにおなじみのあれやこれやのコカ・コーラ製品を作って販売する。
これがコカ・コーラシステムです。
以上2点引用元:日本コカ・コーラ株式会社公式コカ・コーラシステムについて
引用元:日本コカ・コーラ株式会社公式コカ・コーラシステムについて
本社や日本コカ・コーラはジュースの原液を作ってるんだよ。
この原液なんだけどね…特にコカ・コーラの原液に使われてる7xっていう香料の成分はトップシークレットで、コカ・コーラ社の最高幹部しか知らないんだって!
さて、上記のとおり
コカ・コーラ製品の原液担当が日本コカ・コーラで、
製造・販売担当が、現在全国に5つあるボトラー社です。
現在は5社ですが、
以前はもっと多くのボトラーがあり、それらが統合したり吸収合併したりを繰り返して
この数になりました。
2020年現在の、
宮崎を含む九州担当のボトラーは
コカ・コーラボトラーズジャパン(株)ですが、
平成元年あたりの宮崎では、
清武に工場を有していた【南九州コカ・コーラボトリング】が、
我々の手元に届くコカ・コーラ製品を作ってくれてたんですよね♪
平成元年あたりにチョー流行ったはちみつレモンのMoneだって、
スプライトだって、
(そして手前に写ってる見切れた、超好きだったファンタ・フルーツパンチだって、)
宮崎市民会館のカップ自販機のコーラだって、
すべて、南九州コカ・コーラボトリングが作ってくれていたんです。

ん?
カップ自販機!?
そう、カップ自販機のコカ・コーラ製品だって、ボトラー社が製造してるんですよ。
お分かりいただけるだろうか…
高校生たちが飲んだというファンタゴールデンパイナップル、そしてファンタキャラメル
これらが本当に存在していたのだとしたら…
2つとも、
南九州コカ・コーラボトリングさんが作ってたってことになるんです。
これも、先述の某巨大掲示板の同スレッド内で言われていたことなのですが、
どうも各地のボトラーが、
カップ自販機で未知のフレーバー等を限定販売やテスト販売するケースがあったらしいんですよ…
とはいえ、匿名の書き込みですから、信ぴょう性には疑問が残りますし
書き込みがあった時期から20年ちかく経った現在だと、気軽にテスト販売~とはいかないと思いますが…
しかし、あの書き込みが本当だったとしたら、
ファンタキャラメルは
「ちょっと、試しに売ってみようかぁ♪」と、
あの自販機のみでテスト販売されていた可能性が…あるのか?!
コカ・コーラさんに訊いてみた
う~ん、どこまでも曖昧な仮説しか立てられないのはもどかしい…
もどかしい気持ちがMAXになった運営は、
この疑問が生じてから20年以上の時を経て
とうとう直接聞くという行動にでました。
誰に訊くのかって?
そりゃあなた、
日本で最もコカ・コーラ製品に詳しいであろう、
【日本コカ・コーラ株式会社】さんに訊くに決まってるじゃないですか!
日本コカ・コーラ株式会社さんにはお客様相談室があるので、
担当の方に出来る限りご迷惑をおかけしないように、
あらかじめ質問を2つに絞って電話しました。
ドリンク界の巨人コカ・コーラさんに電話…
さすがにドキドキしましたが、
担当の方、
めっちゃ丁寧に誠実に対応してくださいました!
さすが世界的大企業コカ・コーラ!!!器の大きさが桁違いっ
心から感謝です!
さて、運営の2つの質問と頂いたご回答は下記のような内容でした。
具体的には宮崎の学校に設置されていたカップ自販機で
【ファンタキャラメル】というフレーバーは販売されていましたか?
こうやって回答だけ書いたらツイートひとつ分より少ない文字数ですが、
担当さんはこの回答を出す前に、その場でやり取りしながら即座にしっかりとデータを調べてくださり、
丁寧に丁寧に、色んなことを説明して下さいました。
ほんとうにありがとうございました(;▽;)
説明してくださったのは下記のような内容でした。
ボトル等で店頭にならぶ商品のデータが中心で、カップ自販機のジュースについては把握しきれていません。
また、199〇年となりますと…その頃、ボトラー社で販売されていた製品についても把握しきれてはいません。
カップ自販機のジュースの製造販売は各ボトラー社が担当していますので、
過去データもある可能性はありますが、
ボトラー社には基本的に相談窓口はなく、
コカ・コーラ社への様々なお問い合わせはコチラのお客様相談室が一括してお受けしているので、存在したかどうか、正確な事は言い切れないんですね…
とても申し訳なさそうにお話してくれた担当さん…
いや、もう申し訳ないのはコチラの方です(;;)
こんな訳の分からない質問をしてすみません!そして、本当に丁寧に教えて下さってありがとうございます!感謝しかないです!!!
という感謝の気持ちをお伝えし、
最後にもうひとつ用意していた質問をさせて頂きました(土下座)
この回答も文字にするとたった数文字のシンプルなものですが、
とても丁寧に説明してくださったんですよ!!!
ただ、詳しいことはコチラでは把握できていなくて…これくらいの事しかお答え出来なくてすみません…
むしろ、圧倒的感謝!!!
不躾な質問2つにしっかりと答えてくださった担当さん、本当にありがとうございました!
そして、
これ、かなり凄いぞ…
実は運営、
各ボトラーさんが、
日本コカ・コーラさんが公式に出しているフレーバー以外のオリジナルフレーバーを作っていたという証言、
かなり都市伝説に近いんじゃないのかと思ってた部分がありまして…
だって、コカ・コーラ社は、
世界的大企業で、しかも原液のレシピに含まれる香料の一部は現在も最高幹部しか知らないというくらい、
厳重に製品を管理している企業なわけですよ。
なので、
そこから原液の供給を受けているボトラー社がフリーダムにオリジナルフレーバーを作るというのは、
ボトラー社でのオリジナルフレーバー製造説を信じたいと思う反面、「かなり無理のある話ではないか?」とも思っていたんです。
だけど、担当さんは、その可能性はゼロではないと言ってくださった!
我々があの日発見したファンタキャラメルや、ロッテリアでのファンタゴールデンパイナップルは、
やはり存在していた可能性があるんだ…
もちろん、絶対存在した!という証拠を掴んだわけではありませんが、
絶対無かった!というワケでもない。
ファンタゴールデンアップル論争から
もうに20年以上経った2020年ですが、
今回頂いた回答で、ワクワクが蘇りました。
ファンタキャラメルやその他の幻のフレーバーたちの存在が、
現実だったのか、都市伝説なのか、
信じるか信じないかは、アナタ次第
…なわけですが、
我々はあのインパクトのあるパッケージや味や匂いと、
そのときの風景まで覚えているので、
否定することなく、今後も楽しかった思い出として大切にしようと思います(^^)
平成元年あたりに、
宮交シティのロッテリアで飲んだファンタゴールデンパイナップルは美味しかったとのことですし、
衝撃的な味だったんですよ、
ファンタキャラメルは!(*´ー`*)
**おまけのコーナー**
今回、ファンタキャラメルのことを改めて思い出して書こうとなったときに
どうしてもあの禍々しい色のパッケージを記録に残しておきたい!となって、勢いで描いた当時のパッケージの線画です。
(パッケージ自体のデザインは可愛くて好きだったなぁ^^)
色を塗って商品名を入れるとお好きなファンタの出来上がりだYO☆
