平成元年あたりの宮崎の高校生たちは、若草通りからアゲインに向かっている途中だ。
部活の打ち上げで集まったこの日は、いつものメンツだけではなく、先輩から後輩まで男女ごちゃまぜ大人数で、いつも以上にハイテンションな高校生たちであった。
甘い香りが漂う蜂楽饅頭を後方にして若草通りを左に曲がると、アゲインへの通り道【ハイカラ通り】へ出る。
センスのイイ小さなお店や、赤レンガに丸窓の佇まいがお洒落なビルのあるこの通りには、ひときわ目立つインパクト大な建物がある。
入口が3つある4階建てのその表面は、
ライトグレーのタイル張り。
真っ赤な太い数本の柱と、同じく真っ赤な窓飾り。
さらにドアの上を彩る雷紋。
他のオシャレなお店たちが霞むほどのその存在感は、確実にこの通りの主。
その名は四海楼。
(出典:https://shogo11111.ninja-web.net/miyazaki-kourakuti/wakakusadoori/wakakusadoori.html)
インパクトの大きさ故に、そこを通るとき誰しもが、何とはナシに見てしまう。
この日も道すがら、女子のひとりが四海楼に目をやった。
「なんねー!四海楼でなんか食べてくや?」
先述のとおりハイテンションなこの日の集団。
そのハイテンションのままに、男子のひとりがそう言った。
四海楼から目を外し、ハイテンションに対してハイテンションに返す女子たち。
それに対して男子たちは口々に、
と、再度ハイテンションで応えるのだった。
先を歩く女子のひとりが、他の女子の多くが思っているであろう疑問を投げかけた。
男子には大人気の四海楼だが、女子たちが入るには少しハードルが高い。故に彼女たちの多くは、四海楼のことをあまり知らないのだ。
ハイテンション継続中の男子たちは、キャッキャ、キャッキャと笑いながら言った。
「分かった。教えてあげよう、四海楼のすべてを」
男子:フフフフフ…あなたの知らない世界へようこそ
女子:なん言っちょっとや(淡々)
男子かく語りき。~四海楼あるある~
はじめに、
男子たちの名誉のためにお伝えしておこうと思う。
彼らは、普段はそんなに無責任な言動をしたりホラを吹く人間ではない。
ただ、この日は、ゴキゲンな【打ち上げ】最中の移動であり、さらに集団であった。
ハイテンションな集団ほど、訳の分からないことを言う生き物はいない。
この先の記述は、JAROのCMでお馴染み『ウソ・大げさ・まぎらわしい』的なものが多くあるということ、
特に後半は、
お馬鹿さんたちの戯言だということを念頭において頂きたいと思う。
それでは、【四海楼あるある】スタート!
【四海楼】高校生が語るその噂とは一体・・・
そこそこ真実が語られていると思われるゾーン
■お店はおじちゃんとおばちゃんがやってる
■ひとつのビルに3つのエリア。高級(上の階)、普通、激安、がある
■とにかくてげ安い 焼きそばが100円いかんもん!
■ピタパン1個(上限500円位)分の代金だしたら、余裕でラーメンとチャーハンが両方食べられる
■激安なだけじゃなくて、旨いし量もあるかいね!
ウソ・大げさ・まぎらわしいゾーン
■焼きそばはソースじゃなくて餡かけね 知ってる?【炒麺】。本場の焼きそばって餡かけ焼きそばだからね?(ドヤ顔)
■ラーメンが煮え湯の如く熱い。熱すぎて食べられない。
■スープが地獄のように熱い。喉が焼ける。
JAROに連絡ジャロ!ゾーン
■1階(激安エリア)は上の階(高級エリア)の残り物を使っているから激安
■というか、1階(激安エリア)は上の階(高級エリア)の残飯をそのまま出しているから激安
■他のお店から野菜クズを貰ってきているから激安
■ラーメンに他のレストランでもらった野菜クズを入れているから激安
■注文した料理を残してはいけない
■注文した料理を残すと大変なことになる
■注文した料理を不味いとか言ったらもう…
もう…
なかば呆れながら女子は訊いた。
…
… … …
女子全員が、
心の中で声を合わせて呟いた。
『バカやないと…』
「お店に!失礼にも!程があるがー!!!」と叫ぶ後輩をなだめながら、
未だキャッキャ、キャッキャ言っている、ほがらかな少年たちをよそ目に、
高校生たちはアゲインのピタパン屋さんへと向かうのだった。
**おまけ**
当時の宮崎ではかなり斬新だったピタパン屋さんといい、
流行の最先端を具現化したようなオシャレスポット全開だった90年代初期のアゲインの写真置いときます^^
令和元年、四海楼は…
若草通りの蜂楽饅頭を後方にして、最初の十字路を左手に曲がると、ハイカラ通りに出ます。
令和元年も、ハイカラ通りは健在。赤レンガ風の壁に丸窓のビルも健在。
ですが、四海楼のビルは存在しません。
平成18年1月1日に惜しまれながら、
本当に沢山の人に惜しまれながら、
四海楼はそのドアを閉じました。
現在は駐車場に姿を変え、ハイカラ通りはもちろん、宮崎市の繁華街を訪れる数多の人の車を受け入れる、重要な拠点のひとつになっています。
愛すべきお店、四海楼。
四海楼の噂話、
【平成元年あたりの宮崎の高校生たち】の多くは、一度は耳にしているのではないでしょうか。
ほぼ全てが、失礼極まりない、本当ではない話です。
たったひとつを除いては。
お店が無くなって、どんなに時間が経ったとしても、
「てげ安くてウマいとにー!!!」
あの少年たちの、この言葉だけは、揺ぎ無き真実なのだと思います。
平成18年1月1日。
四海楼はそのドアを閉じたけれど、
華やかな雑誌で取り上げられたりするお店ではなかったかもしれないけれど、
平成元年あたりの宮崎を語るうえで、絶対に外せないお店です。
呆れるような戯言ばかり言う腹ペコたちを、
その腹を、
深い、深い、懐で受け止めてくれてありがとう
四海楼。
*****2023年7月19日追記*****
今回も楽しく読ませてもらいましたー。私の四海楼あるあるもぜひ伝えさせてください!笑
・焼きそば、頼んだら5秒で出てくる
・焼きそば、備え付けのソースをビタがけしないと味がないラーメン派が多かった印象ですが、私は同じ100円メニューの焼きそば派でした!懐かしいですね…。 https://t.co/0TOJi5pYDG
— てげいっちゃが🌴ザキミヤニュース (@zakimiya_news) July 19, 2023
Twitterでザキミヤニュースさん(@zakimiya_news)から新たな四海楼あるあるを寄せて頂きました(^^)
焼きそばを5秒で提供!?
高速すぎてカップ焼きそばもビックリだよwww
これはギネスを狙えたのでは!?
…とはいえ四海楼さんは『テレビ黄金期の80年代、キー局ゴールデンタイムの大人気番組の取材も断った』との伝説も風の噂に聞いております。
もしこの噂が本当だとすると、どんなに早かったとしてもギネスに挑戦はしなかったんだろうなぁ
懐かしいです。。。
この記事の男子高校生達の気持ちが、とてもよく分かります!
以下、僕が中・高校生の頃の土曜日の午後の過ごし方です。
①友達と一緒に部活サボる(重要! 笑)
↓
②四海楼で昼食
↓
③広島通りのゲーセンで遊ぶ
・
・
・
あぁ、あの頃に戻りたい(笑)
懐かしいと言って頂き嬉しいです(*´ω`*)
部活をサボってw
かーらーの、
四海楼→広島通りのゲーセン!
あの頃の男子たちの王道ですねー(^^)
ほんと、運営の周りでも
とにかく四海楼のお世話になってた男子、多いです!
閉店してからもずーっと愛されてるお店ですよね…
名店だったんだなぁとつくづく思います。
ちなみにtoshiさんが書いてくださった土曜の午後の過ごし方、
女子バージョンの一例を書いてみますね♪
友だちと部活をダラーっと(←重要)やり過ごす
↓
カレー倶楽部ルウでなけなしの500円をはたいて美味いカレーを喰らう
↓
若草通の雑貨屋&服屋&ひまわり画廊&山形屋のゲームコーナーで遊ぶ
今でも鮮明に当時の景色と楽しさを思い出してしまう運営です(^^)
本当に四海楼、いいお店でしたよ
ところで、、
女子の過ごし方は、いかにも”女の子”って感じで
おしゃれな感じがにじみ出てますね(^_^)
中・高校生の頃は、女子に縁が無い学校だったので
ちょっとドキドキします(笑)
男子と女子と過ごし方は違えど、
若草通りで青春を過ごしたことには間違いないですよね(*´ω`)
…私もあの頃に戻りたいですっ(笑)
私も 四海楼ファンでした 旧三角茶屋のうどんか
焼飯焼きそばセットで迷い デザートは蜂楽饅頭(黒)
アルバイトのお金は若い胃袋に消えてました (^^)
かじべんさん、コメントありがとうございます(^^)
三角茶屋・吉長・豊吉…
当時からリーズナブルで美味しくてボリュームのあるうどんたちは腹ペコ学生の味方でしたね♪
運営陣はダイエーの学生うどん(150円)に相当お世話になりました。
四海楼からの蜂楽饅頭、若草通界隈で遊ぶ男子の王道コースですねー!
そこからゲーセンや模型のトヤマに行く男子たちが知り合いにも多かったように記憶しています。
模型の国トヤマでガンプラかって四海楼でラーメン食べて帰るのが定番でした
たまに安くない方(それでも安かった)の店で小エビのラーメン食べたりしてました
おいしかったなあ
ななしさん。
返信が遅くなりましたが、コメントありがとうございます!
トヤマからの四海楼…若草通の定番コースという感じですね♪
そして四海楼の値段の安さはいろんな憶測を呼びましたが(笑)、美味しい、宮崎の名店でしたね(*^^*)
令和の今…お店がないのはホントに残念です。